電気工学を共に学んで、日本を復興させよう! / 佐久 岳彦さん(修士2年生 さきゅう たけひこ)細谷 竜馬さん(修士1年生 ほそや りゅうま)

インフラと、自分たちの研究の重要性を再認識しました

被災して感じたことを教えてください。

「ボランティアセンターに行ったのですが、その途中の商店街のおばさんに励まされたことが心に残っています」と語る佐久さん

佐久:地震の後の1週間後ぐらいに、ボランティアセンターに行ったのですが、その途中の商店街のおばさんに励まされたことが心に残っています。自転車で通るときに、「お兄ちゃん元気ないね。これ持って頑張って」とペットボトルをもらいました。おばさん、元気だなと思って、自分も勇気づけられましたね。

細谷:震災後、私も含めて、ほとんどの家で水が全く出ませんでした。ただ、奇跡的に水道管が壊れていない家があって、それがたまたま先輩の家だったのです。そこで私も協力して、地域の皆さんへ先輩と一緒に水を配りました。震災前は、水なんか当たり前のものだったのに、皆さん、心から感謝をしてくれました。いつも空気のように感じている電気や水って、本当に大事だなと痛感しましたね。

震災後、皆さんの研究に何か影響がありましたか。

「太陽光や風力などの再生可能エネルギーが、電力システムへ入るのも、国や社会は本気ではないと考えていました。それが震災を受けて、自分の研究がグッと近づいた気がします」と語る細谷さん

細谷:正直に言えば、私の研究の実現は、遠い将来だと思っていました。太陽光や風力などの再生可能エネルギーが、電力システムへ入るのも、国や社会は本気ではないと考えていました。それが震災を受けて、自分の研究がグッと近づいた気がします。

佐久:緊急時には再生可能エネルギーだけで電力を供給できないか、考えるようになりました。今回のように地震があって電源が止まってしまった場合に、一般家庭にある小型の太陽光発電や風力発電などから電力を送ることができたらなと思いました。今は単独運転(停電や電力事故などで、電力会社からの電力供給が停止されても発電が継続すること)が禁止されていますが、緊急時だけは供給できれば良いなと思いましたね。

電気工学なくして復興なし、経済の基盤は電気です

電気工学はこれからの日本の復興にどのような役割を果たすと思いますか。

「今後は再生可能エネルギーも安心して使えるようにすることが大きなポイントだと考えています」と語る佐久さん

佐久:基本的には、「電気工学なくして復興なし」です。従来のように、いかに安定した電力を送れるかはもちろんですが、今後は再生可能エネルギーも安心して使えるようにすることが大きなポイントだと考えています。

細谷:経済の復興がないと日本の復興はないと思います。震災で感じましたが、通信、医療、輸送、行政・・・、何でも電気が必要です。経済活動は、電気がなくては絶対に成り立たないと感じました。そのためには、電気をみんなが安心して、使いたいときに使えるという当たり前の状況を成り立たせることが大事なので、電気工学の重要性は大きいです。

1000年に1度の震災を乗り越えて新しい電力システムをつくる

皆さんの将来の夢や目標を教えてください。

「ものごとを整理して考える力や、それを人に伝える力が養えているはずなので、ぜひ生かして変化に対応できる人間になっていきたいですね」と語る細谷さん

佐久:今後、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入がますます促進されていくと思います。そうなった場合に、いかに安定して電気を供給するかということは、電力会社だけの問題ではなく、日本全体で重要な課題だと考えています。また、原子力発電所も運転できない状態が予想されますので、さらに電力は不足していきます。でも、そこをどうやって補っていくのか。大電源が急に止まっても大丈夫という環境(代替物)をつくっていくことが一番大切ではないでしょうか。私は電力業界へ就職することが決まっていますので、ぜひそれをやっていきたいです。

細谷:電力インフラに関わる仕事で社会を支えていきたいと考えています。今までのインフラ設備は、ある程度の期間があってつくられたのものです。しかし、今回のような信じられない震災や事故が起きたときには、瞬間的にどう対処していくかがすごく必要になると思います。今の研究は、ものごとを整理して考える力や、それを人に伝える力が養えているはずなので、ぜひ生かして変化に対応できる人間になっていきたいですね。

最後に東北の電気工学の学生として、全国の皆さんへメッセージを!

佐久:仙台はいらして頂ければ分かる通り、中心部はほとんど復旧しています。仙台は地震に負けない、東北は地震に負けないことを証明するために、1000年に1度と言われている、この震災の経験を生かして、新しい電力システムをつくっていきたいです。皆さん、応援をよろしくお願いします。

細谷:今回の震災を受けて、電気の大事さは皆さん分かったと思うので、実際に体験した東北大学の電気工学科へ来てくれたらいいなぁと思っています。後輩募集中です(笑)。復興には電力の知識を持った人材が必要ですので、電気工学を一緒に学びましょう!

「研究室へ来て片付けをしていたら、ようやく携帯の電源が復旧して「大丈夫か」というメールがたくさん来ていました。これで津波などを知ることができて、恐ろしい状況が把握できた感じでした」と語る佐久さん

佐久 岳彦さん

  • 電気工学へ進んだきっかけ/小学校の頃から、ソーラーカーのプラモデルをつくったりして電気には興味がありました。斎藤研究室は電力へ関わりたいと思って進みました。
  • 現在の1日のスケジュール/うちの研究室はみんな朝早くには来ないので(笑)、私は朝静かなうちからマイペースに研究しています。空いている時間は、カフェでアルバイトをしています。

細谷 竜馬さん

  • 電気工学へ進んだきっかけ/最初に電気を意識したのは、小学生のときに針金をコンセントに突っ込んで火傷したことです(苦笑)。高校時代に電気回路や電子の流れなどを学んでいくうちに、電力システムを勉強したいと思いようになりました。
  • 現在の1日のスケジュール/1年生なのでまだ授業があります。その他の時間を研究に費やしているという感じです。社交ダンスのサークルに学部時代入っていて、今でも時々行きます。月に1、2回、ダンスバイトもやっていますよ。

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  • 電力系統