「圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)実証設備」を訪問しました

2017年8月1日掲載

今回、パワーアカデミー事務局は、静岡県賀茂郡河津町にある圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES:Compressed Air Energy Storage)システムの実証試験設備を訪問しました。2017年4月に稼働したばかりの実証設備で、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業の一環として、早稲田大学がシステム制御技術の開発、一般財団法人エネルギー総合工学研究所が設備構築を担当しています。再生可能エネルギーの普及に欠かすことのできない蓄エネルギー技術。その最先端の実証現場をご紹介します。

再生可能エネルギーの出力変動をコントロールするために

東日本大震災以来、太陽光発電や風力発電といった、再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいます。しかし、さらなる導入拡大を図るためには、乗り越えなければいけない様々な課題があります。

そのひとつが再生可能エネルギーの出力変動に関するものです。再生可能エネルギーはご存じのように、天気の状況によって発電出力が変わるため、安定的に電力を供給するには、出力変動を緩和する技術が必要になります。出力変動を緩和する技術としては充放電可能な畜エネルギーシステムを用いる手法があげられます。畜エネルギーシステムとして最も一般的なのは鉛や、リチウム、ナトリウム等を使用した蓄電池を活用したものですが、蓄電池は高コストであるため、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を図るために畜エネルギーシステムのコスト低減が求められています。

畜エネルギーシステムのコスト低減を図るためには、システムの設備容量を削減することや、より安価な畜エネルギー技術を開発するなどの方法があげられます。

そこで、気象情報に基づく出力予測情報を制御に活用することで設備容量の削減と、低コスト化が期待される新たな蓄エネルギー技術の開発を目指して「圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES:Compressed Air Energy Storage)システム」の実証試験が開始されました。

新たな蓄電技術・圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムとは?

圧縮空気エネルギー貯蔵システムとは、蓄電池と同様に蓄エネルギー技術のひとつです。簡単に仕組みを説明すると、充電では、風力発電でつくられた電力を使って圧縮機(モーター)で空気を圧縮、高圧状態で貯蔵します。一方、放電は電力が必要になった際に、貯蔵した圧縮空気で膨張機(発電機)を回転させ、電力を発生させます。いわば、空気を利用して充放電を行うシステムです。燃料インフラは不要で、希少金属や有害物質を使用せず、空気と水しか排出しません。さらに圧縮の際に発生する熱も貯蔵し、放電時に再利用することもできるため、効率的で環境にやさしいテクノロジーです。海外で数例の実証機の実績があるだけで、日本ではじめて開発された最先端のエネルギー貯蔵システムとなります。

CAES構成模式図。エネルギー貯蔵効率は、60~70%です。
出典)一般財団法人 エネルギー総合工学研究所

風力発電へ実際に接続して、蓄エネルギー制御技術を実証する

それでは、どのようにCAES実証設備を使用して研究を行うのでしょうか。なんといっても特長は、実際に東京電力ホールディングスが運営する「東伊豆風力発電所」と接続して実系統で試験を行うこと、そして、早稲田大学が多様な条件を検討してシミュレーションを行い開発した制御モデルを、机上の空論にならないよう実機で検証していることです。計算機によるシミュレーションと実機による検証を組み合わせて、CAESシステムの最適な制御技術の研究開発を行っています。

制御の方法は、気象情報を元にした出力予測情報を活用して、2つの方式を検証しています。一つ目は、風力発電の出力変動の影響を緩和するための制御手法の開発で、風力発電の出力変動が系統接続の要件を逸脱しないよう、CAESシステムで最適な充放電を行います。制御目標値を作成するにあたり、予測情報を利用した先行制御を行うことで設備容量を低減できないか検証しています。

予測情報を利用した制御の概念(予測情報を活用することで蓄エネ設備容量を減らせる可能性がある)
出典)一般財団法人 エネルギー総合工学研究所

二つ目は、計画発電制御です。2016年4月に「計画値同時同量制度」が開始されました。これは、発電事業者などは前日および1時間前に30分1コマを単位とする発電計画を作成することが決められた制度です。そこで、将来的に風力発電に計画値同時同量制度が適用された場合を想定して、出力予測情報を元に前日および1時間前に30分1コマ単位とする発電計画を作成し、作成した発電計画と実際の発電量との差を極力なくすようCAESシステムの充放電制御を行うことに取り組んでいます。これらは、まさしく電気工学における最先端研究と言ってよいでしょう。

計画値同時同量制度に対応するための計画発電制御(作成した発電計画と実送電量との差を極小化するよう、蓄エネ装置で補償する)
出典)一般財団法人 エネルギー総合工学研究所

実証設備の概念図。東京電力ホールディングスに加えて、一般の風力事業者にも接続しています。
出典)一般財団法人 エネルギー総合工学研究所

圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムをご案内いただきました

それでは当日、ご案内いただいた、主なCAES実証設備をご紹介します。

変換器(双方向コンバーター)

風力発電から送られる電気は、変圧器で6.6キロボルトに変換されて、最終的には270ボルトに降圧します。そこから双方向コンバーターで直流にして、それを再びインバーターで交流に変換、圧縮機と膨張機に送られるという流れです。写真は、変換器(双方向コンバーター)です。

充電機/熱媒/発電機

充電機で空気を圧縮して高圧状態で貯蔵しています。2段の圧縮機になっており、一度圧縮したところで低温の熱媒(熱を伝える物質)に送られ、熱交換を行って、もう一度、圧縮するという流れになっています。これは1段でやると熱媒の使用温度を超えてしまうため、2段で構成しているそうです。一方、貯蔵した電気を放電する際は、貯蔵した圧縮空気で膨張機(発電機)を回転させて発電を行います。写真は手前から発電ユニット、熱媒ユニット、充電ユニットです。

空気タンク

空気タンクは、直径2m、高さ11.2m、容積30m3のタンクが52基(500kWh)で構成されています。耐震設計を行って、基礎の厚さは40センチの鉄筋コンクリートでつくられています。本タンクは、充電ユニットから空気が送られて、発電ユニットに空気を送る役割を担っています。

補給水タンク&冷却塔

冷却塔(写真奥:肌色のタンク2棟)は潤滑油を冷却する機能と、熱を再利用する際に、使い切れない低温の熱を放熱する機能があります。この冷却塔の水を補給するための補給水タンクが、写真手前の黒いタンクです。

機械制御装置

圧縮機、発電機のユニットの切り替え、回転数の指示など、機械的な動きの制御を行います。さらに熱媒のタンクの温度や、熱媒を循環させるポンプの制御も行っています。

CAES制御装置(統合制御サーバ)

CAESシステム全体を制御しているのが、統合制御サーバです。システム内の情報は勿論、変電所で計測した発電データや気象情報に基づく出力予測情報のデータなどもすべて統合制御サーバに送られます。そして、これら全てを統合してCAESシステムへ充放電指令を行っています。早稲田大学が開発しているシステム制御ロジックは本サーバーへ実装され、実証試験を行っています。

編集後記

ご案内いただいた、エネルギー総合工学研究所の蓮池宏研究理事(写真左)と日浦俊哉主管研究員(右)。

本実証プロジェクトは、平成30年度終了予定で実証試験が行われます。まだ始まったばかりで2年間という短期間での実証試験ですが、世界でも数少ない蓄エネルギーシステムの研究が大きな成果を上げることを期待しています。パワーアカデミーでは引き続き、蓄エネルギー技術の最先端技術について注目していきます。

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