2013年8月、パワーアカデミー事務局は、神奈川県川崎市にある「浮島太陽光発電所」を訪問しました。浮島太陽光発電所は、川崎市と東京電力株式会社の共同事業として、川崎市の臨海部に建設した大規模太陽光発電所(メガソーラー)です。本レポートでは、メガソーラー発電所建設の背景や狙い、訪問した浮島発電所の紹介、そして隣接するPR施設「かわさきエコ暮らし未来館」をご紹介します。

メガソーラー(大規模太陽光発電所)とは

浮島太陽光発電所は、川崎市と東京電力の共同事業として運営されており、川崎市扇島にある扇島太陽光発電所と合わせると約2万kWを誇るメガソーラーです。メガソーラーとは、メガワット級、1MW(メガワット)=1000kWを超える容量の太陽電池を使った、大規模な太陽光発電所のことを言います。ヨーロッパではすでに数多く設置されていますが、日本では近年になって誕生しており、その背景には、地球環境保全のためのCO2排出削減や、再生可能エネルギーの利用拡大の高まりが挙げられます。

*電力会社が設置する、計画公表済みのメガソーラー発電所については、電気事業連合会HP『FEPC INFOBASE』をご覧ください

首都圏最大級のメガソーラー「川崎大規模太陽光発電所」

川崎大規模太陽光発電所は、浮島が2011年8月、扇島が同年12月に運転が開始されました。敷地面積は、浮島が約11万m²で東京ドーム2.3個分。一方、扇島は約23万m²で東京ドーム4.9個分に相当します。この広大な敷地を使った発電量は浮島と扇島あわせて約2万kWです。これは、一般家庭約7500軒分の年間使用電力に相当します。現在のところ、首都圏で最大規模を誇るメガソーラー発電所であり、川崎市全体の約67万世帯に対しては、約1.1%分の電力に相当します。

川崎大規模太陽光発電所の概要

発電所 浮島太陽光発電所 扇島太陽光発電所
所在地 川崎市川崎区浮島町 川崎市川崎区扇島
太陽電池の設置枚数 37,926枚 63,792枚
最大出力 7,000kW 13,000kW
年間発電電力
-世帯約275.2kWh/月[H24]※で算出-
約974万kWh※1
約740万kWh(想定)
一般家庭約2,900軒分
約1,510万kWh※2
約1,370万kWh(想定)
一般家庭約4,600軒分
CO2削減量 約4,500t※1 約7,000t※2
敷地面積
東京ドーム面積約47,000㎡で算出
約11万m²東京ドーム2.3個分
(川崎市所有地)
約23万m²東京ドーム4.9個分
(東京電力所有地)
営業運転開始時期 2011年8月 2011年12月

※1 運転開始2年目の実績、※2 運転開始1年目の実績

※関西最大級のメガソーラー発電所「堺太陽光発電所」レポートはこちら。太陽光発電所のメリット・デメリットも詳しく解説しています。

2008年にはじまった、川崎市と東京電力の共同事業

浮島太陽光発電所から西に約6km離れたところに、扇島太陽光発電所があります。

浮島太陽光発電所が建てられた広大な敷地は、川崎市で発生したゴミの焼却灰の埋め立て地です。この土地を一般の土地と同様に利用するためには、ある一定期間の間、雨水を土地に浸透させ、浄化する必要があります。浮島太陽光発電所の敷地は、法律に従い20年間、建物が建てられません。
そこで、この間、この土地を有効活用しようという目的でつくられたのが、浮島太陽光発電所というわけです。2008年に川崎市と東京電力の間で基本合意がされ、2009年12月には両者における「川崎市臨海部におけるメガソーラー発電計画に関する基本協定」が締結されました。川崎市が太陽光発電等の普及啓発および土地の提供(浮島)を、東京電力は発電所の建設および運転・保守を行います。
川崎市は、浮島太陽光発電所を、埋立地の有効活用に加えて、高度成長時代の公害を乗り越えた環境都市として進めている「カーボン・チャレンジ川崎エコ戦略」の一環として位置付けています。一方、東京電力は、再生可能エネルギーの普及拡大を目指しており、両社の思惑が一致したカタチとなりました。

※カーボン・チャレンジ川崎エコ戦略について詳しくはこちら

浮島太陽光発電所

浮島太陽光発電所を見学させていただきました。当日、ご案内いただいた流れにそってご紹介します。

展望スペース

かわさきエコ暮らし未来館に隣接する「浮島処理センター資源化処理施設」の屋上に、展望スペースがあります。浮島処理センター資源化処理施設は、川崎市のゴミのリサイクルの中間処理を行う施設です。展望スペースからは、東京ドーム2.3個分の広大な浮島太陽光発電所が見下ろせます。

発電所の全景です。写真奥は、首都高速道路です。左奥は羽田空港、右は東京湾アクアラインがあります。羽田空港に離発着を行う飛行機が、次々と発電所上空を横切るように飛ぶのが印象的でした。飛行機からも浮島太陽光発電所が見えるそうです。2012年8月から今年8月までの運転開始2年目は、想定を上回る974万kWhを発電しました。これは、一般家庭約2,900軒分の1年間の電力使用量に相当します。

太陽電池パネル付近

太陽電池パネルの近くまでご案内していただきました。浮島太陽光発電所では、発電効率やコスト、埋立地という土地柄などを考慮して、様々な工夫を行っています。

角度

一般的に太陽電池パネルは年間の総発電量が最大となるように、北海道では40度、宮古島では5度というように緯度によって傾斜角度が異なり、関東地方では30度の傾斜で設置されていますが、浮島太陽光発電所の設置角度は10度です。
これは、この埋立地において30度で設置すると、隣り合う太陽電池パネルの影が大きくなり、多くのパネルを敷き詰められなくなるからです。また角度が急だと、臨海部の強い北風をうけて太陽電池パネルに浮き上がるなど影響を受けやすいため、緩やかな角度で設置しています。

ブロック

全部で37,926枚ある太陽電池パネルは6枚毎に1つの四角い基礎ブロックの上にのっています。これは、埋立地で起こりうる地盤沈下を考慮した上での対策です。たとえ地盤沈下が起きても、その影響が限定的となるように、角度の調整を行えるように、基礎部分を細かいブロックに分けて設置しています。

発電の流れ

太陽電池パネルで発電された直流電力を、発電所内の7ヶ所の「パワーコンディショナー」で交流電力に変換します。
キュービクル(写真奥のコンテナのような箱)の中には4ユニットのパワーコンディショナーが入っています。
パワーコンディショナーで直流電力から交流電力に変換された電気は、「中間変圧器(写真手前)」で210Vから6,600Vに昇圧されます。

中間変圧器で6,600Vに昇圧された電気は、構内1ヶ所の変電設備にまとめられ連系変圧器で6万6000Vに昇圧して、東京電力の電力系統へ供給されます。

かわさきエコ暮らし未来館

川崎市運営のPR施設「かわさきエコ暮らし未来館」は、地球温暖化、再生可能エネルギー、資源循環の3つのテーマを体験して学べる環境学習施設です。

1階

浮島太陽光発電所を上空から見た、巨大な航空写真です。周りは東京湾になります。

1階は「ガイダンスゾーン」となっており、正面入り口を入るとフロアいっぱいに広がる川崎市の巨大な“航空写真”が目を引きます。そして“発電量モニター”で、浮島太陽光発電所および扇島太陽光発電所の発電量がリアルタイムに確認できます。さらに“定点カメラ”で浮島発電所の現在の様子も瞬時に分かります。

発電量モニターには現在の発電量だけでなく、パワーアカデミー事務局が訪問した、前日の発電電力量も表示されます。左が浮島、右が扇島です。日によって発電量が変動しやすい太陽光発電所ならではの展示です。

2階

2階が、かわさきエコ暮らし未来館のメイン展示となります。展示ゾーンは、「地球温暖化チャレンジゾーン」、「再生可能エネルギーゾーン」、「資源循環チャレンジゾーン」の三つです。

「地球温暖化チャレンジゾーン」では、川崎のこれまでの自然環境に関わる歴史、地球の実情などを、最新の映像技術によって、楽しみながら学ぶことができます。

「再生可能エネルギーゾーン」では、浮島および扇島の太陽電池パネルの実物をはじめ、川崎の臨海部に集まる先端の環境技術に触れることができます。また、これからのエネルギーについて、遊び心あふれる仕掛けで、楽しく学べます。

「資源循環チャレンジゾーン」では、モノはきちんと分別すれば、再び資源になって生まれ変われることを、五感を使って楽しく学べます。

編集後記

再生可能エネルギーの普及が叫ばれる中、首都圏にこれほど巨大な太陽光発電所があることを、ご存じない方も多いのではないでしょうか。川崎駅からバスで40分ほどの好アクセスなので、ぜひ多くの方にご覧になってほしいと思いました。尚、かわさきエコ暮らし未来館は見学自由ですが、ご紹介した浮島太陽光発電の見学に関しては予約制となっております。詳細は、かわさきエコ暮らし未来館に直接お問い合わせください。

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