2012年8月、パワーアカデミー事務局は、宮崎県小林市にある宮崎ウッドペレット株式会社を訪問しました。宮崎ウッドペレット株式会社は、未利用となっている国内林地残材などを「木質ペレット」に加工し、バイオマス発電用燃料として活用することを目的に2009年に設立されました。電源開発株式会社(J-POWER)と宮崎県森林組合連合会の共同出資によるものです。本レポートでは、宮崎ウッドペレット設立の意議、ペレットを作る工程をご紹介します。

森を守るバイオマス発電用燃料「木質ペレット」

日本は国土の約70%を森林で覆われています。森林資源に恵まれている国ですが、同時に林地残材(立木を丸太にする際に出る枝葉や端の部分、間引いて切られた木材など、通常林地に放置される残材)が発生します。この林地残材は、森林の荒廃の大きな原因となっています。

こうした林地残材をエネルギーに変えようとする試みが、「木質ペレット」によるバイオマス発電です。木質ペレットとは、木を粉砕・乾燥・圧縮してペレット状に成型したもので、再生可能エネルギーであるバイオマス発電の燃料となります。カーボンニュートラル(※)という概念から、石油等の化石燃料と違って大気中の二酸化炭素(CO2)を増加させず、また林地残材を活用できるため、森林保護の観点からも大きく注目を集めているのです。

※カーボンニュートラルとは・・・

バイオマスの燃焼時に放出されるCO2は、植物が光合成により吸収してきたCO2であるため、CO2の排出と吸収はプラスマイナスゼロになる。このような炭素循環の考え方のことをカーボンニュートラルと言う。

林地残材は「チップ」→「粉砕物」→「ペレット」の順で、バイオマス燃料となります。

宮崎ウッドペレットとは

宮崎ウッドペレット株式会社のオフィスとなります。

宮崎ウッドペレットの木質ペレット製造工場は、林地残材等を活用した製造工場としては、国内最大級の2万5000トン/年の製造能力を持ちます(林地残材等の受入可能量は年間8万立方メートル)。製造した木質ペレットは、J-POWERの松浦火力発電所(長崎県松浦市)において、石炭とともに発電用ボイラーで燃焼(混焼)の試験をされています。少しでも燃料の石炭を減らし、代わりに木質ペレットを燃やすことでカーボンニュートラルによるCO2排出量削減を行っています。

尚、この木質ペレットの製造は宮崎県の「森林整備加速化・林業再生事業」と、石炭火力にてCO2の削減を目的とする、一般社団法人新エネルギー導入促進協議会の「林地残材バイオマス石炭混焼発電実証事業(経済産業省補助事業)」にて実施されています。

木質ペレット製造の流れ

「木質ペレット製造工場」の主要設備をご案内いただきました。木質ペレット製造の流れにそってご紹介いたします。

「木質ペレット製造工場」の外観

「木質ペレット製造工場」の外観

宮崎県森林組合連合会の『小林林産物流通センター』に隣接。2011年3月より営業運転を開始しました。小林林産物流通センターに納入されている生産者より、林地残材を購入します。

中央操作室

中央操作室

木質ペレット製造工場は、スキッドフォークの操作以外、すべて自動化を実現。ほとんどの機器をこちらの中央操作室で操作します。

貯木ヤード

貯木ヤード

山から切り出された、林地残材を貯木する場所です。使用する林地残材は、主にスギ、ヒノキとなります。

スキッドフォーク

スキッドフォーク

原木を運び、工場内に入れるのが、「スキッドフォーク」です。この機器以外は、全て自動運転を実現しています。

木材切削機

スキッドフォークで運ばれた林地残材を切削刃物で削りチップ状にします。

切削刃物

チップ

チップヤード

チップヤード

木材切削機で製造した「チップ」を貯蔵します。約170トンの「チップ」を貯めることが可能です。

粉砕機

木材切削機で製造した「チップ」を粉砕機で更に細かく砕き「木粉(粉砕物)」にします。

粉砕機

木粉(粉砕物)

乾燥装置

乾燥装置

粉砕機で製造した「木粉」を「ペレット」が作りやすい水分まで熱風で乾燥します。熱風はペレット原料となる「木粉」を燃料として使用しています。

造粒機

乾燥機で乾かした「木粉」を固めて、「ペレット」(直径8mm程度の円筒形)を製造します。

造粒機

ペレット

貯蔵出荷設備

貯蔵サイロ

最大300トンの「ペレット」を貯蔵することが可能な貯蔵サイロです。「ペレット」は、トラックに積み込まれて出荷します。

松浦火力発電所

松浦火力発電所

「ペレット」はJ-POWERの松浦火力発電所(長崎県松浦市)までトラック輸送され、石炭とともに発電用ボイラーで燃焼します。

編集後記

宮崎ウッドペレットの木質ペレット製造工場は、2012年10月より2交代制、2013年4月より3交代制体制で本格稼動する予定です。森林保護、二酸化炭素排出削減、再生可能エネルギーの利用といった、これからの日本が実現すべきテーマのモデルケースとなりうる宮崎ウッドペレットの今後に目が離せません。パワーアカデミーでは今後も再生可能エネルギーをはじめとする、電力の現場を紹介していきます。

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