電気工学のススメ

インタビュー

学生インタビュー

これからの日本の電気を私たちが支えたい!

松村研究室は、大電流・エネルギーをキーワードとして、電力機器・電力システム分野の研究を行っている研究室です。大容量・高密度・高信頼度で発生・電送する電気エネルギーの新技術を日夜追求しています。

■「大電流を切る」実験に衝撃を受ける

interview_00600_img_1.jpg

まずは、電気工学系の学科を専攻された理由を教えて下さい。

川原:大学受験の時期、ちょうど半導体がブームでした。そこで、就職に有利じゃないかぁと思って、工学部を志望しました。具体的に電気へ行こうと思ったのは、大学院の時ですね。研究室を選ぶ際に、もっと電気の知識を身につけて、社会へ出たいと考えました。

近藤さんはいかがですか。

近藤:私は、文系の教科がまずだめでしたので(苦笑)、理系で、理学部か工学部か迷ったのですが、自分に合うのは工学部だと思って進みました。理学部は、数学をひたすら解いていくイメージがあったので。私の場合は、それより実験などの方が合うかなと思い、工学部に決めました。

なるほど。工学部の中で電気という分野は特別意識されましたか。

近藤:入った時点では、そんなに意識はありませんでした。大学院へ進む際に研究室見学があるのですが、その時に実験のデモンストレーションを見て楽しそうだなと思ったのが、電気を意識したきっかけです。

実験のデモンストレーションとは、具体的にどんなことですか。

近藤:遮断器と呼ばれる、「大電流を切る」実験のデモです。送配電線に故障(落雷や樹木接触など)が発生した場合、故障が発生した地点へ大電流(故障電流)が流れ込みます。そうすると、大きな被害が発生してしまうわけです。そこで故障電流を遮断するために使用されている電力機器が、遮断器です。

実際に電流を切るわけですね。

近藤:そうです。実際には、電流を切る前にアーク放電(※)が発生するのですが、その光が強烈なインパクトがありまして、やってみようかなと思いました。


アーク放電の実験

凄いですね。川原さんもご覧になったのですか。

川原:ええ。ただ、私は正直、ピンと来ませんでした(笑)。でも、先輩たちが優しく教えてくれたという印象はありました。研究室は、どちらかというと雰囲気で選びました(笑)。

※アーク放電とは気体中の放電現象の一種。最も激しい最終段階の状態と言われる。

■環境を守り、安全な電力機器をつくる

まずは、川原さんの研究内容を教えて下さい。

川原:私は、東京大学の馬場先生の研究室と共同で「超電導限流器」の研究をしています。限流器とは、電力系統において故障が発生したときの故障電流を抑制する装置で、そこに超電導を応用する研究です。

超電導を応用することで、限流器にはどのようなメリットがあるのですか。

川原:超電導のよく知られた性質で「電気抵抗がゼロである」ということはご存知ですよね。実は、それ以外にも「大電流が流れたときには、逆に抵抗が発生する」という性質があるのです。つまり、超電導は、普通に電流を流している時は、電気抵抗がゼロなので、電力ロスが少なく効率的に電気を流せます。ところが、例えば落雷とかで一次的に電流が大きくなったときは、逆に電気抵抗が発生して防いでくれるわけです。つまり、超電導の性質は、限流器にピッタリというわけです。

なるほど。具体的に、川原さんは超電導限流器に関する研究でどのようなことをやられているのですか。

川原:Y系(イットリウム系)という素子を使用して研究しています。この素子は、厚さ0.2μmの薄膜です。0.2μmは、1㎜の1万分の1です(笑)。

1㎜の1万分の1!想像もつかない薄さですね(笑)。

川原:この素子が超電導限流器に最適と言われているのですが、まだ基礎特性が十分に理解されていないのです。その解明を行うのが私の研究です。素子に電流を流したり、PCでシミュレーションを行っています。

基礎特性というのは、何がわからないのですか。

川原:いわゆる形状ですね。超電導限流器は、素子が1つだけではどうにもならないのです。そこで、直列や並列など最適な組み合わせは何かということを研究しています。

では、近藤さんの研究を教えてください。

近藤:私は、先ほど話にもあった、遮断器に関する研究をしています。電流を遮断するためには導体を切り離す必要があるのですが、切り離した導体間にアークが発生し、電流が流れ続けます。そこで、遮断器は、アークにガスを吹き付けて消し、電流を素早く切るのです。そのガスがSF6(六フッ化硫黄)というガスです。

SF6ですか。

近藤:はい。このSF6、電流を遮断する性能はいいのですが、地球温暖化に大変悪い影響をもたらすのです。SF6の温暖化係数はCO2の約2万4000倍あります。

そうですか。それは、大気に漏れないよう注意が必要ですね。

近藤:そうですね。ですから、これに代わるガスを探そうというのが、まず私の研究のコンセプトです。具体的な研究としては、理論構築ですね。これまでの研究の成果でCO2がSF6に代わるガスに一番近いという成果が出ているのですが、それをもっと発展させて、CO2に他のガスを混ぜるとどうなるか、などの実験を様々な方がやっています。私はそれを理論的に裏付ける研究をしています。PCでシミュレーションを行って、このガスの能力はこうだよ、ということを計算しています。