
首都大学東京の安田研究室は、システム工学(最適化と制御)とエネルギーシステム・電気機器の応用に関する研究をしています。システム工学は、高度に複雑化していく現代社会において、必要不可欠な学問です。
※2009年10月現在。文中の敬称は略させて頂きました。
■理系は論理立てて物事を考えられる

それぞれ、電気工学を専攻した理由を教えてください。
田中:私は電化製品の中にある仕組みに興味があって、それをもっと知りたいと思ったのがきっかけです。そして、電化製品といったら電気というイメージを持っていたのが大きかったですね。あと、父親が電気系の仕事をやっていて、いつも家に、ハンダや回路基板などがあったことも理由です。
金田さんはいかがですか。
金田:私は、最初に理系か文系か迷いました。理系を選んだ理由は、論理立てて物事を考えていく力が養われることです。父親から、ものごとを考える力というのは大切だよと、よく言われていましたので、それで理系に行こうと決めました。その中で電気を選んだのは、電気は扱う範囲が広いので、その中で自分の興味がある分野が絶対あるだろうと思ったからですね。また、最新の電化製品にも興味があり、それについても勉強できたらいいなと思っていました。
■新幹線の最適なカタチは何?最新型システム工学

分かりました。それでは、皆さんの研究内容を教えて欲しいのですが、院生の田中さんからお願いします。
田中:はい。私たちの研究室は電気工学の中でもシステム最適化の研究をしています。システムには、性能を最大限に発揮できる変数というのが必ずあります。その変数の中で最適な組み合わせを探し出す手法を研究しています。最適な変数を探し出すためには、膨大な試行錯誤が必要なのですが、それを出来るだけ抑えるやり方を考えています。
一番、最適な変数を探し求めている研究であると。具体例を教えてください。
田中:例えば、新幹線の形状を考えるときに、縦、横、高さ、先端の曲がり具合といったものがありますが、これらはすべて変数として扱われます。縦が何センチ、横が何センチ、奥行き何センチとか。これらの縦・横・高さなどの組み合わせによって、空気抵抗・騒音・振動など様々なものに影響が生じます。そこに、最適な変数の組み合わせがあるわけです。
なるほど。他に何か具体例がありますか。
田中:「巡回セールスマン問題」というのがあります。セールスマンが、東京や横浜などの日本の都市を一周して戻ってくるときの最短ルートを見つけ出す問題です。そこでも最適化手法が使われています。
新幹線は形状。セールスマンは距離。それらを最適化する変数の値を探し出す研究をされているわけですか。
田中:そうですね。
あまり電気工学と関係ないように思えるのですが、どういうふうに結びついているのですか。
田中:私も研究室に入る前はつながりが分からなかったのですが、電気を学ぶうえではシステムという概念は絶対に不可欠なのです。身近でいえば携帯電話を例にとると、ケータイにカメラなど便利な機能がついたとしても、本体の重量が重かったりしたら使いづらいですよね。

あるいは電池の消耗が早くなってしまうとか。
田中:そうですね。こういうふうに、単体だけで考えてしまうと全体として見たときに色々な問題が生じてきます。それをシステム的にとらえることによって最適化をする必要性が生まれるわけです。そういう意味で、システムという概念は電気工学の中で重要な分野なのです。最終的には、すべての電気工学分野のシステム全体を最適化できる仕組みにすることが究極の目標です。
何か、経済学などに通じる研究ですね。
田中:確かにそうかもしれません。
工学のみならず経済学、社会学などの幅広い分野に応用が可能だと思います。私たちの研究は、設計などに多く応用されます。例えば、先ほど例に挙げた「巡回セールスマン問題」は回路基板を製造するときに応用できます。基板の穴空け加工をできるだけ短い時間でこなしていくためにはどうするのかといった感じです。
製造工程などに役に立つわけですね。
田中:ええ。基板の例の他にも、開発した最適化手法をモーターの形状設計に応用する研究もしています。私たちが考えもしなかった最適な形状が出てきたときは驚きましたね。



