電気工学のススメ

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夢の超電導ケーブルを、世界中で実現したい!住友電気工業株式会社 西村崇さん

■日本初!超電導ケーブルの電力系統をつくる

それでは、住友電工へ入社された理由を教えてください。

西村:理由は、やはり大学院の研究の延長ですね。実用化の段階までは至っていない(実用化の一歩手前の段階)のですが、発電所や変電所などで実現するまで付き合ってみたいなと考えて、住友電工を志望しました。

では、入社されてから2年経つと伺いました。今どのような仕事をされていますか。

西村:私は、超電導を電力ケーブルに応用する開発をやっています。具体的に言いますと、住友電工は、平成22年度から、東京電力さんと共同で、高温超電導ケーブルを電力系統に連系する日本で初めての実証試験を実施します。このプロジェクトに私は加わっています。

日本初の超電導ケーブルの電力系統ですか!どのようなプロジェクトですか。

西村:実際の変電所には、長さ200~300メートルの超電導ケーブルが入りますが、その前に30メートル程の短いケーブルで事前検証をします。その試験を大阪府の熊取町で行っています。


高温超電導ケーブルの断面図(サンプル)

具体的な仕事は、どういう感じでしょうか。

西村:実験がメインです。分かりやすくいいますと、超電導ケーブルに電流や電圧をかけて、それを検証する実験です。その結果を、実際の変電所に入る超電導ケーブルの仕様にフィードバックします。ケーブルの設計自体には私は関わっていませんが、実際の系統の運転や、電流を流してデータ監視および解析を行う作業を行っています。

分かりました。これまで仕事をされてきて、何か印象に残っていることはありますか。

西村:今話した30mケーブルの実験ですね。とにかく、重いものなので準備が大変なのです(苦笑)。一般的にケーブルというと、街中にある細い電線をイメージすると思いますが、超電導ケーブルは、電圧および電流容量が街中にあるケーブルの20万倍もあります(細いケーブルは容量1kVAに対し、超電導ケーブルは200MVA)。これをどうやってレイアウト通りに布設するか、そういった難しさです。

どちらかと言うと肉体労働ですか。

西村:ええ。屋外にケーブルを敷設して電気を流すという試験ですが、とにかく大掛かりな分、本当にきついです。ここ3~4ヶ月ずっとやっていて。やっと安定した試験に入って今ほっとしているところです(苦笑)。

他に何か、嬉しかったこととか、面白かったことがあれば。

西村:今の話の続きですが、実際に自分が汗水流して敷設したケーブルが無事に、狙い通りに動いてくれると嬉しいです。苦労が報われたといいますか。あとは、やっぱり、超電導ケーブルの実用化という夢に一歩一歩進んでいる実感を持てることですね。


2002年に実施された、三心一括型高温超電導ケーブルの世界初の長期試験の様子(住友電工HPより)

実際に超電導ケーブルが実用化されれば、私たちの生活はどのように良くなるのですか。

西村:実際に実用化するのは、おそらく20年後ぐらいだと思いますが、超電導ケーブルは、大容量送電が可能な上に電力ロスがほとんどありません。ですから、電気の経済性はもっと良くなると思います。それから、やはり環境面ですね。電力ロスがないことで、CO2の排出量が少なくなるという特徴があります。電気という便利で使いやすいものが画期的な進化を遂げるということは、大きな恩恵を私たちに与えてくれるはずです。

■グローバルな視点で、電気工学を楽しく学ぼう!

今振り返って、電気工学を学んで良かったな、と思うことを教えてください。

西村:言い方は偉そうですが、私を頼ってくれることですね。と言うのは、高電圧を扱える人がなかなかいません。あとは計測ですね。具体的に言うと、オシロスコープなどの機器をスムーズに扱えるというのは、電気を学んでいて良かったな、と思います。でも、やはり超電導に出会えたことに尽きるかもしれません。

分かりました。では最後に、電気工学を学ぼうとする学生さんへのアドバイスをお願いしたいと思います。

西村:電気の道に進む人が少なくなった理由として、電気が難しいからという話をチラッと聞いたことがあります。ですから、電気の勉強の仕方を考えてほしいなと思うのです。机の上でガリガリ勉強していても面白くないので、例えば工作をしてみたり。実際に自分の手を動かしてモノを作って、そういった面から電気の勉強をしてほしいな、と思います。

考えてみたら、極端な言い方ですけど、西村さんがやっているのも、とても大きな電気工作と言えますよね。

西村:まぁ、そうですね。それから、電気は世界中どこでも使える技術です。特にメーカー系に進む人にとっては、大きなアドバンテージになるはずです。グローバルな視野を持ってもらうと嬉しいな、と思います。

西村さんご自身は、世界へ行って活躍したいという希望はありますか。

西村:そうですね。超電導ケーブルは、大容量が売りなので、必要な市場を探すとすれば日本だけにはとどまりません。いずれは世界中に広がると思います。「超電導ケーブルといえば住友電工の製品」という知名度を世界中で得ることが、私の大きな目標です。

分かりました。ぜひ超電導ケーブルを実用化して、私たちの生活をより豊かなものにして頂くことを願っています。ありがとうございました。

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