
■エコキュート開発には、電気工学が不可欠

パナソニックへ入社された理由を教えて下さい。
山口:高専に進んだ理由と重複しますが、家電に関わる仕事をしたかったということです。院の研究は、エネルギー変換工学でしたので、応用可能な自動車か家電か迷ったのですが、子供の頃からの思いを優先しました。
それでは、入社してから現在に至るまでのお仕事を教えて下さい。
山口:入社して最初の2~3年はエアコンの設計・開発に関わっていました。その後は、ずっとエコキュート製品に携わっています。エコキュートとは、冷媒にCO2を使用したヒートポンプ給湯機のことです。大気中の熱をくみあげ、その熱を効率よく水に移してお湯を沸かします。自然エネルギーを利用してお湯を沸かすので、燃焼式給湯器に比べて、CO2排出の大幅な削減が可能となります。
具体的にエコキュートへどのように関わっているのですか。
山口:エコキュートは、お湯を貯める貯湯ユニットと、お湯を沸かすヒートポンプユニットがあります。私はそのヒートポンプユニットの電装品の設計・開発に携わっています。

電装品とは何ですか。
山口:ヒートポンプユニットは、圧縮機や膨張弁などで構成されていますが、それらの部品を作動させるための電気制御装置です。圧縮機や膨張弁やファンモータなどがヒートポンプユニットの心臓や手足とすると、それらを動かすための脳が電装品と言えば分かりやすいでしょうか。
つまりヒートポンプユニットには不可欠な装置というわけですね。その電装品に電気工学はどのように貢献しているのでしょうか。
山口:電装品は、ただ動作するだけでなくインバータなどから発生するノイズへの対策や、過酷な使用環境でも安定して動作するための動作マージン確保といった、様々な配慮が必要です。しかも、それらを低コストで実現する必要があります。その実現のためには電気工学の回路技術や電子部品に関する知識は不可欠です。また、学生時代に学んだエネルギーの変換効率向上の取り組みも、高効率なエコキュートを開発する上で非常に役に立っています。
■環境技術が評価され「省エネ大賞」を受賞!

今のお仕事をされていて、一番嬉しかったことを教えて下さい。
山口:モノづくりに関わっている人なら誰でもそうかもしれませんが、自分が関わった製品が、世に出ることです。エコキュートはちょっと特殊な製品で、普通の家電量販店には置いていませんが、たまに大型の家電量販店などでオール電化のコーナーが設置されたときは自然と立ち寄りますね(笑)。また、一般家庭に設置されているのを見かけたときも嬉しいですね。
技術者の一番の醍醐味ですよね。
山口:そうですね。私はエコキュートを開発する初期から携わっており、現在のカタログ製品は全てに私が関わりました。だから、特に思い入れが大きいです。
最新モデルは、どのような感じですか。
山口:ちょうど最新モデルを7月10日に発売したところですが、昨年度発売したモデルは、「平成20年度 第19回 省エネ大賞 資源エネルギー庁長官賞」を受賞しました。これは、ヒートポンプユニットの高効率性、貯湯ユニットの保温性能、生活スタイルに応じて最適な沸き上げ運転を行う学習制御などの省エネ技術が評価されて受賞したものです。自分が関わった製品が、「省エネNo1」に認められたことは本当に嬉しかったです。毎年、とにかく性能を良くしようと頑張っていますから。技術者の力が評価されたと思っています。

省エネ大賞を受賞した「パナソニック エコキュート」製品
※品番/HE-KU37BXS HE-KU46BXS
■電気工学を学んで、地球環境を守ろう!

電気工学を学んでよかったことを教えて下さい。
山口:一番は、今の仕事に携われたことです。モノづくりという好きな仕事で、環境に貢献できる実感が持てたことはよかったと思います。あとは、電気に対するうんちくが語れることですね。奥さんにも時々聞かれますが、「雷ってこういうふうに発生するんだよ」と偉そうに語っています(笑)。
では、これから電気工学を学ぼうとされる方にメッセージを頂ければと思います。
山口:この先、ますます電気は環境に対する役割が大きくなります。エコキュートもそうですが、車が電気自動車化するなど、CO2削減や省エネルギーのために電気工学は欠かせない学問になってくると思います。ぜひ、電気工学を学んで、私と一緒に地球環境を守りましょう!
力強いメッセージをありがとうございます。最後にこれからの山口さんの夢や目標を教えて下さい。
山口:エコキュートの省エネ性を突き詰めたいという思いがあります。同じ話の繰り返しになりますが、それがお客様のためになり、結局は地球環境のためになるからです。自分が持っている電気工学の知識をぜひ環境に活かしていきたいです。
本日は、ありがとうございました。さらに環境にやさしいエコキュート製品をこれからも開発されることを願っております。
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