宇宙にも天気予報があった!

2019年7月掲載

私たちの生活に欠かせない天気予報。
その天気予報が、宇宙にもあることを知っていますか?実は電気工学とも密接に関係しているのです。

宇宙天気予報は、太陽活動を観測する

宇宙天気予報とは、太陽や太陽風(※1)を観測して、その状態を実況・予測して知らせるものです。
代表的な国際機関としては国際宇宙環境情報サービス(※2)、日本では情報通信研究機構 宇宙天気予報センター(※3)などがあり、WEBサイトで私たちもその情報を知ることができます。

なぜ太陽活動を観測する、宇宙天気予報が必要なのでしょうか?
太陽活動が活発化すると、太陽フレア(太陽面の爆発現象)という現象が起きて、X線の放射や人体に有害な高エネルギー粒子の放出、プラズマの塊を放出するコロナ質量放出(CME: Coronal Mass Ejection)などを引き起こします。
これによって、人工衛星に搭載された機器の故障や、宇宙飛行士が被曝するといった恐れがあります。
またCMEによって発生する磁気嵐は、地上の電力送電システムに障害を起こした例(※4)もあり、私たちの暮らしや生活まで悪影響を与える可能性があるからです。

そこで、こうした障害を軽減するために必要とされているのが、宇宙天気予報です。
具体的には、"今日の宇宙天気 太陽活動は静穏でした。引き続き今後1日間、太陽活動は静穏な状態が予想されます。~(情報通信研究機構 宇宙天気予報センター 日報より引用)"といった表現で、私たちに伝えます。
そして、地球上の天気予報と同じように、関連分野に関わる人たちが対策を練るというわけです。

宇宙天気が対象とする領域は太陽、太陽風、地球磁気圏、電離圏ですが、基本的にはプラズマ現象を基礎として研究を行っています。
実は宇宙にある物質の99.9%以上はプラズマと言われています。このプラズマ現象は電気工学の研究範囲であり、今後、宇宙天気予報のさらなる発展にも電気工学は欠かせないのです。

(※1)太陽風については、身近な電気工学第24回 地球とプラズマを参照ください。

(※2)国際宇宙環境情報サービスは、宇宙環境の情報提供を行っている国際機関。ISES(International Space Environment Service)。http://www.spaceweather.org/(英語サイトへリンクします)。

(※3)国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、情報通信分野を専門とする日本唯一の公的研究機関。宇宙天気予報センターのサイトはこちら。http://swc.nict.go.jp/

(※4)平成元年3月にカナダのケベック州で、磁気嵐によって長距離送電線に大規模誘導電流が生じ、設備損壊に至り大規模停電が発生した。日本においては、低緯度・送電線が短いため磁気嵐や地磁気誘導電流の影響が小さく、供給支障発生の可能性が極めて低いと評価されている(経済産業省 電気設備自然災害等対策ワーキンググループ‐中間報告書 P68)

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