第3回 電気自動車とミニ四駆 電気自動車は、実物大"ミニ四駆"

2009年5月掲載

"エリーカ(Eliica)"という言葉を聞いたことはありませんか?これは、慶應義塾大学電気自動車研究室が製作した、最高時速370Kmを誇る夢の電気自動車です。実はこのエリーカ、皆さんがご存知のミニ四駆と同じく純粋に電池とモータのみで動くPureEV(電気自動車)なのです。

日本中が熱狂!国民的ホビー「ミニ四駆」

ミニ4駆(C)TAMIYA

おそらく皆さんも、子供の頃、一度は遊んだことがあるのではないでしょうか。ミニ四駆とは、株式会社タミヤから発売されている、動力付き自動車模型シリーズです。80年代・90年代と二度に渡って大ブームが起き、『ダッシュ!四駆郎』、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』といったミニ四駆を取り上げた漫画も大ヒット。アニメ化もされ、多くの小学生が熱中しました。2005年には、累計販売台数1億7000万台を突破。現在では、親子2代に渡ってのファンも多く、国民的ホビーと言ってよいでしょう。

ミニ四駆を高速化させた、高性能モータの登場

ミニ四駆が、これほどまでの大ヒットを記録した理由としては、(1)高速走行ができるメカニズム、(2)数百円台と安価、(3)はめ込み式で簡単に製作できること、(4)アニメ・漫画とのタイアップ、(5)かっこいいデザイン、(6)専用レーシング場でのイベント開催、などが挙げられますが、一番大きな理由は、主要ユーザーである小学生が自分で改造できることだと言われています。

ミニ四駆の動力源は、基本的に、単3形乾電池2本とFA-130サイズのモータ1個のみです。また、はめ込み式なので各パーツの交換が容易にできます。タイヤ、ホイール、モータ、ギア、シャフト・・・、これら全てを自由に変えることによって、性能アップがはかれることが小学生達の心を掴みました。特に走りの速さに直結するモータの高性能化は、誰もが競いあいました。「ミニ四駆はオモチャじゃねえ!レーシングマシンだ!」これは『ダッシュ!四駆郎』の主人公・四駆郎が発する決めゼリフです。

さて、こうした子供達の心を掴んだミニ四駆の魅力をそのままに、実物大になったかのような新たな自動車が、今大きな注目を集めています。それが、ミニ四駆と同じくエンジンなどの内燃機関を使用せずに、電気を動力源としてモータ駆動する"電気自動車"です。

環境を守り社会を変える、夢の車「電気自動車」

EVの仕組み

動力装置は、モータ、バッテリー、コントローラ(動力制御装置)などから構成されています。

電気自動車(※)とは、積載したバッテリー(繰り返し充放電できる二次電池)でモータ走行するクルマ(PureEV)です。ガソリンエンジン・ディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した自動車とは違い、有害ガスや二酸化炭素を出さないため、環境にやさしいのが特徴です。

また、もし電気自動車が普及すれば、環境面だけでなく、私たちの生活においても様々なメリットをもたらすと言われています。例えば、緊急医療の効率化です。現在、病院の中を救急車が入ることはできず、患者を一度、玄関口で降ろす以外方法がありません。

しかし、電気自動車の救急車ならば、排気ガスを出さないため、そのまま病院の中に入ることができます。一分一秒を争う緊急医療にとっては、大きな前進となります。

その他にも、電気自動車はエンジン音がほとんどないため、街から騒音が消えることにもなります。また、家庭のコンセントで充電できる電気自動車も、どんどん開発・普及していくことになるでしょう(すでにイタリアでは実用化されています)。まさしく21世紀の生活・社会を一変するかもしれない夢の車、それが電気自動車なのです。

※電気自動車とは
広義の意味では、モータとエンジンを併用するHEV(ハイブリッド車)、燃料電池を搭載して発電・充電しながらモータ走行する燃料電池車なども電気自動車に含まれますが、本記事では、狭義の意味の電気自動車(PureEV)に限定します。

サイトの更新情報をお届けします。

「インタビュー」「身近な電気工学」など、サイトの更新情報や電気工学にかかわる情報をお届けします。

メールマガジン登録

バックナンバー

[ 2017年8月掲載 ] 第25回 雷の不思議

なぜ、カミナリはジグザグに落ちていくのか?

[ 2016年12月掲載 ] 第24回 地球とプラズマ

オーロラの光の正体、それは?

[ 2016年7月掲載 ] 第23回 電気魚の不思議

電気ウナギは、なぜ電気を出せるのか?

[ 2015年12月掲載 ] 第22回 モーターと回生ブレーキ

時速270kmの新幹線は、発電しながら止まる!

[ 2015年8月掲載 ] 第21回 電気通信の仕組み

シャーロック・ホームズのメールは、電報でした。

[ 2014年12月掲載 ] 第20回 電気の未来社会

未来は、コードやケーブルがなくなる?

[ 2014年8月掲載 ] 第19回 スピーカーとフレミングの法則

テレビの音を小さくすると、節電になるのか?

[ 2014年1月掲載 ] 第18回 電気のトリビアその3

ちょっと得する電気の雑学、集めました

[ 2013年11月掲載 ] 第17回 電気のトリビアその2

ちょっと得する電気の雑学、集めました

[ 2013年9月掲載 ] 第16回 電気のトリビア

暮らしの中の電気トリビア、集めました

[ 2013年3月掲載 ] 第15回 野球と電気エネルギー

万能選手!電気は多才なエネルギー。

[ 2012年9月掲載 ] 第14回 オリンピックと電気工学その2

バレーも電力もIT管理。

[ 2012年7月掲載 ] 第13回 オリンピックと電気工学その1

水泳も送電も抵抗をなくそう!

[ 2012年5月掲載 ] 第12回 震災と電気工学その3

電気工学的、節電とは?

[ 2012年1月掲載 ] 第11回 震災と電気工学その2

電気は、本当に貯められないのか?

[ 2011年11月掲載 ] 第10回 震災と電気工学その1

周波数変換の謎、徹底解剖。

[ 2011年6月掲載 ] 第9回 LED照明のメリット/デメリット

いま流行(はやり)のLED照明とは、何もの?

[ 2010年12月掲載 ] 第8回 電力系統と駅伝

電力も駅伝も、最適配置で勝負。

[ 2010年9月掲載 ] 第7回 医療機器応用の歴史

日本最古の電気機器「エレキテル」は、医療機器でした。

[ 2010年4月掲載 ] 第6回 人工衛星と太陽電池

世界ではじめての太陽電池は、人工衛星に積まれました。

[ 2010年4月掲載 ] 第5回 宇宙船と燃料電池

2010 年、宇宙の旅のおともに「燃料電池」

[ 2009年12月掲載 ] 第4回 ヒートポンプと打ち水

ヒートポンプの元祖は、「打ち水」でした。

[ 2009年5月掲載 ] 第3回 電気自動車とミニ四駆

電気自動車は、実物大"ミニ四駆"

[ 2009年5月掲載 ] 第2回 パワーエレクトロニクスとボランチ

サッカーと電力の舵を取れ!

[ 2008年7月掲載 ] 第1回 超電導と浮遊術

ハリー・ポッターの空飛ぶホウキと超電導体

すべて表示する

5件だけ表示


電気工学を知る