電気工学のススメ

身近な電気工学

第1回 超電導と浮遊術

■永久電流が流れる超電導体

超電導体

超電導とは、限りなく電気抵抗が0に近い現象をいい、そのような性質を示す物質を超電導体といいます。少し分かりにくいと思うので噛み砕いて説明しましょう。石や木や紙などは一般に電気を通しにくく、電線によく使われている銅*などの金属は、電気をよく通すことはご存じだと思います。しかし、金属はあくまでも“電気を通しやすい”物質であって、多かれ少なかれ必ず電気抵抗をもっています。たとえば金属導線に電流を流すと熱が発生します。これは金属の電気抵抗により、電流が流れにくくなり、エネルギーの一部が熱となることによるものです。
ところが、金属の中には絶対零度(マイナス273℃度)近くまで冷やすと、いきなり電気抵抗がかぎりなくゼロになる物質が存在します。これが超電導体です。超電導体には電気抵抗がないわけですから、そこに電流を送り込めば、熱などのエネルギーロスなしに、いつまでも電流が流れ続けることになります。

*銅の電気抵抗 直径1mm、長さ100mの線で約1Ω

■現代の浮遊術“超電導体”

『マイスナー効果』

マイスナー効果

※超電導工学研究所は、超電導材料の高性能化と磁石構造の改善により、土佐ノ海関を浮上させることに成功した。最高300kgまで浮上できることも確認している。

このように電気的に特異な性質をもつ超電導体は、磁気的にもきわめて興味深い性質を示します。“マイスナー効果”はそのひとつ。超電導状態にした超電導体を磁石の上に置くと、宙に浮くという現象です。磁石の磁極がN極であろうが、S極であろうが、同じように浮いてしまいます。近年、液体窒素の温度(-196℃)で超電導を示す高温超電導体も発見され、マイスナー効果は簡単に実験できるようになりました。超電導体には、磁力線を内部に入り込ませないように排除する性質があり(完全反磁性)、その結果、磁石の上で宙に浮いた状態となってしまうのです。